「非Aの墓」 田中章滋
俺の降り下ろす
ステッキの先の
火花が見える
傍らではガマが蠅をたべている
オンアボキャ
俺の頭の上の
標が見える
戒厳令下の浴槽で
腸からひき出された
反抗の吃音
ベイロシャノウ
思考を押し包む星月夜
赤い螺旋の光の直中に
胎児の俺がいる
そこに俺の降り下ろす
ステッキの火花が見える
あらゆる美しい物語を消しさるように
響く銃声
マカボダラ
俺を消すために
ガマを消すために
蜜柑山の記憶を消すために
憎しみの顔を消すために
母国語を消すために
人類を消すために
愛を消すために
火花を消すために
さあ、撃つがいい!
そしてカラスにくれてやれ
俺の頽廃を
蟻塚の口を
垢臭い俺の脳葉から
呪わしい言葉を追い出せ!
マニ ハンドマ ジンバラ
一面の麦畑に
俺の魂は一万年も這いつくばっていた
ストーンヘンジを並べたのは
俺だ
エンキドゥの朋だったのも
俺だ
カエサルに歯向かったのも
俺だ
ナポレオンもウエリントンも
俺だ
しかし俺とは誰だ?
誰でもない
その名をアントナン・アルトー
父にして母にして私
たがカモノハシよろしく
生成りとして生まれ落ちたのが
俺の唯一の不覚であった
バフォメットみたいな醜い姿で
ハラバリタヤウン
皆消え去れ
原初のように
太陽も暗闇も消してしまえ
それでもカチカチと
俺の降り下ろす
ステッキの先の
火花が見える
そして俺の顔が見える
若い僧侶だ
その面差しは竜舌蘭の鼻、滝の口、虹の耳、火花の目
そう、俺こそが火花だ
オンアボキャ ベイロシャノウ マカボダラ マニ ハンドマ ジンバラ ハラバリタヤウン
この呪文を三度唱えると
蠅が一匹死に
三途の川を渡れると
ダライ・ラマは言う
十三度生まれ変われば 俺は
蠅に成れる
俺の降り下ろす
ステッキの先の
火花が見える
傍らではガマが蠅をたべている
オンアボキャ
俺の頭の上の
標が見える
戒厳令下の浴槽で
腸からひき出された
反抗の吃音
ベイロシャノウ
思考を押し包む星月夜
赤い螺旋の光の直中に
胎児の俺がいる
そこに俺の降り下ろす
ステッキの火花が見える
あらゆる美しい物語を消しさるように
響く銃声
マカボダラ
俺を消すために
ガマを消すために
蜜柑山の記憶を消すために
憎しみの顔を消すために
母国語を消すために
人類を消すために
愛を消すために
火花を消すために
さあ、撃つがいい!
そしてカラスにくれてやれ
俺の頽廃を
蟻塚の口を
垢臭い俺の脳葉から
呪わしい言葉を追い出せ!
マニ ハンドマ ジンバラ
一面の麦畑に
俺の魂は一万年も這いつくばっていた
ストーンヘンジを並べたのは
俺だ
エンキドゥの朋だったのも
俺だ
カエサルに歯向かったのも
俺だ
ナポレオンもウエリントンも
俺だ
しかし俺とは誰だ?
誰でもない
その名をアントナン・アルトー
父にして母にして私
たがカモノハシよろしく
生成りとして生まれ落ちたのが
俺の唯一の不覚であった
バフォメットみたいな醜い姿で
ハラバリタヤウン
皆消え去れ
原初のように
太陽も暗闇も消してしまえ
それでもカチカチと
俺の降り下ろす
ステッキの先の
火花が見える
そして俺の顔が見える
若い僧侶だ
その面差しは竜舌蘭の鼻、滝の口、虹の耳、火花の目
そう、俺こそが火花だ
オンアボキャ ベイロシャノウ マカボダラ マニ ハンドマ ジンバラ ハラバリタヤウン
この呪文を三度唱えると
蠅が一匹死に
三途の川を渡れると
ダライ・ラマは言う
十三度生まれ変われば 俺は
蠅に成れる
スポンサードリンク
コメントフォーム